鑑定スラブケースに割れやひびが入っている場合

NO IMAGE

こんにちは。JCCの阿部です。

さて、先日、「購入したコインのスラブにひびが入っているんですが、売るときにマイナスになりますか?」というご質問をいただきました。

私たちプロのコイン商としては、スラブに傷があろうが、割れていようがコイン自体に傷が入っているわけではなく、コインの価値(価格)に全く影響を与えないと考えています。これは海外のコインディーラーも同じ考え方です。
なので、海外オークションでは、スラブが割れていても、説明文にいちいち「スラブに割れあり」とは記載しないことが殆どですので、落札して手元に届いたら”スラブの角が割れていた!”ということはよくあります。

さて、本題ですが、 コインのスラブにひびが入っている場合、売るときにマイナスになるかどうか、ですが、私の答えはYes。どれくらいのマイナスになりますか??
それはヒビの程度によるでしょう。
コインの正面部分にガッツリとヒビがあれば、コインの鑑賞の妨げになりますし、何よりも見た目も悪く、スラブも含めたコレクションとしては大きなマイナスポイントとなるかもしれません。
下の方に少しだけ、言われれば気が付く程度のヒビなら大したマイナスにはならないかもしれません。

では、価格的にどれ程の影響が考えられるでしょうか?

全く同じグレードのコインが2つあり、Aはキレイなスラブケース、Bはスラブに目立つ傷があるとしましょう。この2枚が同時にオークションに出された場合、Aが50万円で落札されたとしたら、Bは恐らく49万円程度だと推察します。

つまり、スラブにガッツリと傷があっても価格的には僅かに1万円程度しか差は無いということです。

それはなぜでしょうか?
答えは簡単です。
PCGSやNGCでは、リホルダーというサービスがあり、 スラブに傷がある場合など、 新品のキレイなスラブに入れなおしてくれるからです。その費用が大体1万円以下程度。なので、落札者は落札した後にリホルダーに出しなおす考えであれば、その費用分だけ安く落とせればいいということになります。

ただ、これはオークションなど、あくまでもある程度コインの知識を持っている人同士での売買の場合といえます。もし、コインに詳しくない方へ販売を考えておられるのであれば、キレイな状態に越したことはないですので、リホルダーでキレイなスラブに入れ替えた後、販売されることをお勧めします。

ちなみに、リホルダーの場合、コインをアメリカへ発送してから戻って来るまで、最短1カ月半~3ヵ月、場合によっては6か月くらいかかる場合もあります。

また、「リホルダーの場合、グレードの数字が変わることはありますか?」とのご質問もありましたが、答えはNoです。リホルダーは原則、数字そのままでスラブケースだけ新しくなって戻ってきますのでご安心ください。

なお、JCCはPCGS、NGCとも認定ディーラーですので、本来であればグレーディングもリホルダーも代行できるのですが、現在、コロナの影響で物流が極めて不安定な為、代行サービスを休止しています。

本日はここまでとさせていただきます。皆さまのお役に立てますように。

T.ABE / JCC